【9月25日 AFP】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)の検問所で今週、イスラエル兵士らがパレスチナ人女子学生を射殺する事件があった。イスラエル側は、女子学生が刃物で兵士を襲おうとしたと説明しているが、遺族や活動家からはこの見解に対する疑念の声が上がっている。

 ハデル・ハシュラモン(Hadeel al-Hashlamon)さん(18)は22日、イスラエル軍部隊によりヘブロン(Hebron)の検問所で射殺された。活動家らは、検問所で撮影された全身がベールで覆われた女性の写真を公開。写真には刃物は写っていないものの、発砲の瞬間はとらえられておらず、これらの写真から確かな結論を引き出すことはできない。

 イスラエル軍は24日、ハシュラモンさんが刃物で兵士を襲おうとしたとの見解を改めて表明。死亡事件が起きた際に通常行われる調査を開始したと発表した。

 軍関係者の説明では、検問所をハシュラモンさんが通過しようとした際、金属探知機が鳴ったため、兵士が止まるように命じたが、ハシュラモンさんは止まらずに歩き続けたとされる。

「彼女はバッグから刃物を出しながら兵士の1人に近づいた。兵士らはまず地面に発砲、次に彼女の足に向けて発砲したが、彼女は歩き続けた。そこで兵士らは彼女の下半身に向けて発砲した」と、同関係者は説明した。

 イスラエルメディアもまた、ハシュラモンさんが使用したとされる刃物が地面に落ちている様子を写した軍提供の写真を掲載した。

 一方、23日に行われたハシュラモンさんの葬儀で父親は、娘は無実であり、危険な存在ではなかったのに何発も撃たれて殺されたと語った。

 また検問所で撮影されたとされる写真を公開した「反入植青年団(Youth Against Settlements)」の活動家は、ハシュラモンさんが撃たれた直後に現場に到着したが、刃物は見なかったとした上で、「彼女は冷酷に殺害された。兵士らにとって脅威ではなかったのに」と語っている。(c)AFP