【9月25日 AFP】訪米中のローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は24日、首都ワシントン(Washington D.C.)の議会で演説し、紛争や貧困を逃れる人々への支援や、気候変動対策への取り組みを呼び掛けるなど、米国と世界の大きな政治問題の数々に言及した。

 この歴史的演説は、前々から強い関心を集め、温かい歓迎を受けたが、環境問題の原因について懐疑的な意見を持っていたり、移民の受け入れに反対したりする議員にとっては、居心地の悪い内容となった。

 法王は、シリアやイラク、アフガニスタンから欧州に到着している多数の難民に触れた上で、「この大陸でも、多くの人々がよりよい生活や愛する人、より大きな機会を追い求めて北へと向かっている」と、中米出身の移民らについても言及。

 自身の両親も欧州から米大陸に移り住んだ移民である法王は、「これは、私たちが自分の子どもに望むことではないのか」と訴えると、「彼ら(移民)の数に戸惑っていてはいけない、むしろ個人に目を向けるべきだ。彼らの顔を見て、それぞれの話に耳を傾け、この状況に対してできる限りの対応をしよう」と呼び掛けた。

 米上下両院の保守派の多くは、気候変動は人類の産業と農業が生み出したものだとする見解を否定しており、地球温暖化を遅らせるための排ガス規制に反対している。法王は、「人間の活動がもたらした環境悪化の最も深刻な影響を回避していく」ための「勇気と責任ある」解決策を模索していこうと呼び掛けた。

 特定の政策に関する法王のメッセージの根幹にあったのは、宗教・政治上の過激派が及ぼす危険に対する懸念だった。「われわれは皆、個人の幻想やイデオロギーに基づく過激思想といったものの影響を全く受けない宗教などないと分かっている。つまりわれわれは、宗教であれ何であれ、あらゆる種類の原理主義に対し特別の注意を払っていかなければならない」と法王は述べた。(c)AFP