【9月18日 AFP】オーストラリアのケビン・アンドリュース(Kevin Andrews)国防相は17日の議会で、同国の次世代潜水艦を国内で建造する可能性に言及し、トニー・アボット(Tony Abbott)前首相が支持していたとされる日本から完成品を調達する案を後退させた。

 オーストラリアは、ディーゼルと電力で駆動する現行のコリンズ(Collins)級潜水艦を代替するため、同国としては過去最大規模の500億豪ドル(約4兆3000億円)相当の次世代潜水艦開発計画を進めており、フランスとドイツ、日本が受注をめぐり競っている。

 今月14日の党内政変でマルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)現首相に敗れ、首相を辞任したアボット前首相は、日本で建造された潜水艦を調達するのが最も値ごろであるとして、日本からの調達に前向きだったと報じられていたが、アンドリュース国防相は、オーストラリア国内で潜水艦の大部分を建造することが望ましいと考えていることを示唆した。

 仏造船大手DCNSは、今年7月に開かれた豪議会の公聴会で、DCNSは潜水艦の建造の7割をオーストラリア国内で行うことが可能だと証言していた。

 アンドリュース国防相は17日の議会で「名乗りを上げている企業うち1社が、ここオーストラリアで潜水艦の大部分──およそ70~80%──を建造できるとしている」と述べた。一部の豪メディアはこの発言を、ターンブル新政権による旧政権からの大きな方針転換として取り上げた。

 オーストラリアでは、国外から完成品の潜水艦を調達すれば国内の造船業が大打撃を受けるとして、次世代潜水艦の選定は大きな政治論争を引き起こしている。造船業が集中するサウスオーストラリア(South Australia)州の失業率は7.9%で、オーストラリア国内で最も高い。(c)AFP