【9月18日 AFP】記録的な規模の移民や難民が連日殺到しているドイツ南部バイエルン(Bavaria)州のミュンヘン(Munich)では19日、世界最大のビールの祭典「オクトーバーフェスト(Oktoberfest)」が開幕する。地元当局は警備をめぐって頭を抱え、住民らは世界中から集まるビール愛好家と難民との気まずい文化的衝突に神経をとがらせている。

 9月1日以降、ミュンヘンには7万5000人近い移民が到着した。オクトーバーフェストに50年以上前から毎年参加しているという70歳の地元女性は、戦争で疲弊したシリア人やイラク人をミュンヘンの人々が歓迎していることを「誇りに思う」と述べつつ、「いつ終わるのか」とも口にした。

「あと何人来るのでしょう。どこで寝るのか、誰が食べ物をあげるのか。助けたいけれど、ここには助けを必要とする貧しいドイツ人もいるんです」

 オクトーバーフェストはミュンヘンにとって、経済的にも文化的にも1年で最大のイベント。昨年のオクトーバーフェストには630万人が訪れ、特製ビール650万リットルを消費した。16日間の祭りの経済効果は約10億ユーロ(約1400億円)に上る。

 国境検問の再導入後、ミュンヘン駅に殺到する移民の数は直近の週末の2万人からは減ったが、それでも16日には9000人以上が市内に到着した。当局は、オクトーバーフェストの期間中に約200万人が鉄道で来場する見込みだとして、輸送網に警備上の最大の懸念があると警戒を強めている。

 オクトーバーフェスト初日には約40万人が訪れる見通しで、会場では約500人の警官が警備に当たる。バイエルン州当局は連邦警察にも援助を要請した。(c)AFP/Deborah COLE