■死を招く砂漠の砂塵

 レリーベルド氏はまた、農業用化学肥料の「興味深い」関与についても強調している。

 ロシア、米国東部、東アジアなどにおける2.5ミクロン以下の微小粒子状物質(PM2.5)の大気汚染は、その大半が農業物資に起因している。1ミクロンは、100万分の1メートルだ。このPM2.5は、化学肥料から放出されるアンモニアと、自動車の排ガス中の危険な硫酸塩や硝酸塩が結合してつくられる。

 研究チームによると、欧米諸国ではこの結合反応が致命的な問題になっている。大気汚染関連の死亡のうち、排ガスを原因とするものの割合は、世界平均が約5%であるのに対し、英国、ドイツ、米国では約20%に達していることが、研究チームによる試算で示唆された。

 研究では、大気汚染度の測定結果、人口と保健に関する統計、汚染大気物質を吸入することの健康リスクに関するデータなどを組み合わせるコンピューターモデルが使われた。

 過去の研究は、主に欧米での条件をベースに行われていたが、今回の研究では、中国の一部など、より汚染度の高い地域での各種リスクに関するデータも組み込まれているため、これまでで最も完成度が高いとレリーベルド氏は説明した。

 地球上の致命的な大気汚染の発生源となっているのは、人間の活動によるものばかりではない。大気汚染による死者の少なくとも10人に1人は、砂漠の砂塵に関連していると研究チームは補足している。(c)AFP/Joshua MELVIN