【9月16日 AFP】通りを走り抜ける車のクラクションやエンジン音など、喧騒の中で育ったスズメは寿命が短くなる可能性を、フランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)のチームが15日、明らかにした。

 研究チームによると、都市交通の騒音の中で生まれ育ったスズメのひなは、より静かな環境で育ったひなよりも染色体の末端部が短かった。しばしば靴紐の先に例えられるこの末端部分は「テロメア」と呼ばれ、染色体を保護する役目を担っているが、テロメアの長さから細胞の老化を予測することが可能で、テロメアが長いほど寿命が長いという関連性が多くの研究で示されている。

 英国王立協会(Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された論文の実験で研究チームは、複数のスズメのつがいとそれらのひな21羽に対し、あらかじめ録音した交通騒音を1日6時間、1週間にわたり浴びせた。一方、別のひな16羽は、フランスの田舎の比較的静かな環境でふ化させ、育てた。

 両方のグループのひなが生後9日に達した時、テロメアの採取を含め、両方のひなの検診を徹底的に行った結果、騒音の中で育ったひなは「著しくテロメアが短い」ことが分かった。研究チームは、なぜ騒音がテロメアにとって不利を招くのかは分からないが、ひなの睡眠を妨げてストレスを引き起こすためだと推測している。

 一方、今回のひなの追跡調査は初飛行までだったため、静かな場所で育ったひなたちの寿命が長いか否かについては、実際に計測できなかった。論文の共著者アリゼ・メイユール(Alizee Meillere)氏は「もっと長く追跡を続け、短いテロメアが鳥の寿命に影響するまでに、どのくらいの時間がかかるか調べることができれば興味深いだろう」と語った。(c)AFP