■賭け金は桁違い

 ウェストハム(West Ham)やストーク・シティ(Stoke City)でプレーしたマシュー・エザリントン(Matthew Etherington)氏は、ドッグレースや競馬、カードゲームで総額150万ポンド(約2億8000万円)を失ったと振り返る。

 また、アダムス氏の元チームメートであるポール・マーソン(Paul Merson)氏は、1990年代にサッカー1試合に3万ポンド(約560万円)を賭けたという。

 ニューカッスル(Newcastle United)やサンダーランド(Sunderland AFC)でプレーしたマイケル・チョプラ(Michael Chopra)は、スポーティング・チャンス・クリニックにかかっており、チームバスで他の選手とギャンブルに興じ、大金を投じたと話した。

 現在では、イングランド・プロサッカー選手協会(PFA)がスポーティング・チャンス・クリニックに多額の支援を行うまでになった。

 ブランドCEOは、スポーティング・チャンス・クリニックにかかっているアスリートの約85%が、稼ぎの良いサッカー選手だとしているものの、依存症に苦しむボクサーやダーツ選手もいるという。

 ラグビーリーグにも問題を抱える選手は多く、競技人口の多いオーストラリアに新たな施設をつくることも検討しているという。

「サッカーやラグビーのトップリーグには、スポーティング・チャンス・クリニックの道具を使いながら、禁止薬物やギャンブル、アルコールから選手を引き離す手伝いをしているスタッフもたくさんいる」

 また、問題を抱える選手との「会話の仕方が分からない」という理由で、スポーティング・チャンス・クリニックに連絡してくるクラブもあるとブランドCEOは言う。

 スポーティング・チャンス・クリニックは毎年、イングランドのプロリーグに属する92のクラブで若手選手に向けて話をしているものの、問題のある選手がいなくなることはないという。

「試合などで存在感を発揮したいと考えている若手選手がいる一方で、使えないと思われたり、選ばれなかったりすることに不安を抱える選手もいる」

(c)AFP