【9月9日 AFP】メキシコ政府は8日、1日に400回以上のてんかん発作に見舞われている8歳の少女に対し、例外的な措置として、大麻の使用を認めた。大麻の使用が禁止されている同国で、医療目的に大麻の使用が許可されたのは初めて。

 メキシコ保健省は声明で、てんかん発作の緩和に有効と考えられる大麻(マリフアナ)オイルの輸入に必要な事務処理を迅速に行うと発表した。

 少女の父親であるラウル・エリサルデ(Raul Elizalde)さんは、医薬品の輸入を担当する連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)の代表と会った後、AFPに電話で「うれしい」、「わたしたちにとって最後の望みだ」と語った。

 両親にグレース(Grace)と呼ばれているこの少女は、2歳になる前に「ママ」と言って以来、一言も言葉を話せない。おむつを着けてはうように動き、ピンク色の車いすで移動している。両親は娘の苦しみを和らげようと脳外科手術を含めさまざまな治療法を試したがどれも効かず、病状は悪化した。

 他に選択肢がなくなり、大麻オイルの輸入を特別に許可してくれるよう政府に求めたが、拒否された。麻薬組織間の抗争や当局と麻薬組織の武力衝突が「麻薬戦争」と呼ばれるほど激しいメキシコはいかなる麻薬の合法化にも反対している。

 先月になり、ある判事がマリファナオイルの入手を両親に許可。エリサルデさんは、今や医者が処方箋を書いてくれるはずだとして、米国かノルウェーからの大麻オイルの輸入を目指すと語った。(c) Laurent THOMET