【9月4日 AFP】ハンガリーの首都ブダペスト(Budapest)近郊のビチケ(Bicske)駅で3日、到着した列車から警察が移民たちを強制的に下車させようとしたため、抵抗する移民たちとの間で大混乱となった。

 ある移民男性は、女性と赤ん坊を抱えて線路に倒れ込み移動を拒んだが、数人の警察官に引きずるように連れ去られた。イラクから逃れてきたという別の男性は、AFP記者に「収容施設に行くぐらいなら、ここで死んだ方がましだ」と訴えた。この日は蒸し暑く、男性の娘は頬の炎症で病院に搬送された。

 移民の数はAFP記者の推計で200~300人ほど。ほとんどが列車を降りて用意されたバスに乗ることを拒否し、大きな混乱が生じた。国営ハンガリー通信(MTI)は、バスは近くの移民収容施設に向かうものだと伝えた。

 ハンガリーでは、ブダペストの駅に西欧を目指す移民数千人が殺到し、女性や子どもを含む約2000人が駅周辺や地下通路に取り残されている。こうした中、警察は3日朝、国際列車が出るブダペスト東(Keleti)駅の封鎖を2日ぶりに解除した。

 しかし、ようやく乗った列車が近郊のビチケで止まったことから、移民たちはだまされたと激怒。一斉に「ドイツ!ドイツ!」と最終目的地の国名を叫び始め、「SOS」「助けて」などと書かれたプラカードを掲げる移民の姿も見られた。警察は移民たちにペットボトル入り飲料水を配布したが、怒りからボトルの中身を地面にぶちまける移民たちもいた。(c)AFP /Viken Cantarci、Peter Murphy