【9月4日 AFP】農場で子どもを育てると、アレルギーを予防できるように思われることは、研究者らの間で長年知られているが、その秘密は農場の「ちり」にあることを突き止めたとする研究結果が3日、発表された。

 ベルギーの研究チームが米科学誌サイエンス(Science)に発表した研究成果は、抗ぜんそくワクチンの開発に道を開く助けとなるかもしれない。

 ベルギー・ゲント大学(Ghent University)のバート・ランブレヒト(Bart Lambrecht)教授(呼吸器病学)は「農場のちりと、ぜんそくやアレルギーの予防との間に関連性が実際にあることが現段階で明らかになっている」と語る。

「この結果は、ドイツとスイスの農場で採集したちりにマウスをさらす実験によって得られた。人間のアレルギーの最大原因とされるチリダニ類アレルギーから、マウスが完全に保護されることが、これらの実験で判明した」

 また、論文によると、農場のちりは「A20」と呼ばれるタンパク質の作用によって「チリダニ類などのアレルギー誘発物質に対する気道内粘膜の反応を低減させる」ことを、研究チームは発見したという。

 農場のちりにさらされると、体内でA20タンパク質が生成される。

 ゲント大のハミダ・ハマド(Hamida Hammad)教授によると、マウスでA20タンパク質を不活性化すると、肺粘膜が「アレルギーやぜんそくの反応を低減できなく」なり、保護効果は失われたという。

 農場で育った人2000人を対象とした調査で、アレルギーやぜんそくに悩まされている人がほどんどいないことを研究チームは明らかにした。

 また農場育ちでも、アレルギーやぜんそくにかかりやすい人々は、保護効果を持つタンパク質が欠乏していることが分かった。

「保護効果がみられず、依然としてアレルギーを発症する人々は、A20タンパク質の機能不全を引き起こす、A20遺伝子の変異を持っている」とランブレヒト教授は指摘する。

■新薬開発に向け活性物質特定へ

 研究チームは次の段階で、ぜんそく予防薬開発への利用を目的として、農場のちりに含まれる、保護効果の発現に関与する活性物質の特定を目指す予定だ。

「農場のちりがこの種の予防効果をもたらす仕組みの解明を進めることで、抗ぜんそくワクチンや新たなアレルギー治療法の開発に向かう正しい軌道に乗っていることは確かだ」とハマド教授は話している。

「だが、それらを患者に利用できるようになるまでには、数年に及ぶ研究を重ねる必要がある」(c)AFP