【9月3日 AFP】中国当局はこのほど、同性愛者らを主な登場人物とする映画の公開を初めて許可した。映画を手掛けた監督が明らかにした。同国の厳しいメディア検閲の突破口とする声も一部から上がっている。

 映画『Seek McCartney（英題）』の王超（Wang Chao）監督は先月29日、マイクロブログ「新浪微博（Sina Weibo）」で、検閲当局が劇場公開を許可したと発表。「映画部局にとっての小さな一歩であり、また映画業界の人々にとっての大きな一歩」とコメントした。

 中国では、同性愛に対する寛容さが主要都市では高まっているものの、依然として保守的な空気が国全体を覆っており、差別的な言動も少なくない。

 中仏合作の同映画では、中国人男性とフランス人男性との間の秘められた関係を中心にストーリーが展開する。

 ただ、中国当局による検閲をめぐっては、一貫性を欠き予測不可能とされており、一部からはぬか喜びとなる可能性もあると指摘されている。

 LGBT（レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー）の映画監督で人権活動家でもあるファン・ポポ（Fan Popo）氏は2日、AFPの取材に応じ、「中国当局による映画の評価は、規定が非常に不明瞭であるために大きなばらつきがある」と述べ、各検閲官の気まぐれに依存している部分も少なくないと指摘した。(c)AFP