【9月2日 AFP】ドイツ西部デュイスブルク（Duisburg）の動物園は1日、おりから抜け出してパニックを起こしていたオランウータンを、同動物園の飼育員らが射殺したことを明らかにした。オランウータンは園外に飛び出していく恐れがあったという。

 動物園の発表によると、雄のオランウータン「ニーアス（Nieas）」は8月31日、きちんと施錠されていなかったおりのドアをすり抜け、同動物園で飼育されている別の雄のオランウータンに出会って興奮し始めたという。

 ストレスを募らせ、怒りで真っ赤になったニーアスは、頭上のランプにぶら下がり、敷地から市内に逃げ出しそうに見えたという。

 麻酔銃の使用は、「効果が表れるまでに数分かかりそうだった」ため、適当ではなかったという。

「ニーアスが町の往来に出ていきそうになっており、私たちとしては、市民を傷つける可能性を見過ごすわけにはいかなかった」

 動物園側は、ニーアスに実弾を使用せざるを得なかったことを「遺憾に思っている」として、園の関係者らはショックを受けていることを付け加えた。

 インドネシアのスマトラ（Sumatra）島やボルネオ（Borneo）に生息するオランウータンは、森林破壊や密猟で絶滅の危機に瀕している。

 国際自然保護連合（International Union for the Conservation of Nature、IUCN）によれば、スマトラ島のオランウータンは「絶滅危惧IA類」に分類されているが、ボルネオのオランウータンはスマトラ島のオランウータンより数は多いものの、「絶滅危惧IB類」に分類されているという。(c)AFP