【9月1日 AFP】東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)が、盗用を疑われている大会エンブレムについて、数日前には擁護する姿勢をみせていたものの、一転して使用中止にする方針を固めたことが 1日、報道で明らかになった。

NHKが今回の決断を報じると、TBSは東京五輪のメーン会場になる新国立競技場 (New National Stadium Japan)の建設計画が費用の高騰により白紙撤回されて以降、この1か月で大会組織委員会が対応に振り回されている様子をまとめて伝えている。

 大会組織委員会は報道についてのコメントを避けたが、同日夜に記者会見を開くとしている。

 日本国内の各メディアは情報源を明かしていないものの、物議を醸している今回の問題を受けて、大会組織委員会が記者会見を行い、大会エンブレムを正式にお蔵入りにする方針を固めたと伝えている。

 使用中止の方針を決定的にしたのは、渦中のデザイナーである佐野研二郎(Kenjiro Sano)氏が、自身の大会エンブレムを展示する場所のイメージとしてネット上に投稿されていた東京各所の画像を盗用したとメディアが報じたことだった。

 大会エンブレムは7月に公開されて以降、ベルギーに拠点を置くデザイナーのオリビエ・ドビ(Olivier Debie)氏がデザインした劇場ロゴに酷似していると訴えられており、論議の的になっていた。

 ドビ氏は、国際オリンピック委員会(IOC)を相手取り、エンブレムの使用差し止めを求めて提訴している。

 一方、IOCは申し立ての内容を認めず、先月28日には大会組織委員会が再び記者会見を開き、佐野氏の原案を公表した上でデザインを変更する予定はないとしていた。

 大会組織委の武藤敏郎(Toshiro Muto)事務総長は先週、「大会エンブレムのデザインは、オリジナルだと確信している」と主張していた。

 東京五輪のエンブレムは、東京、トゥモロー、チームを意味する「T」の字をベースとし、赤い円が心臓の鼓動をあらわしたものとなっている。

 これに対して、リエージュ劇場(Liege Theatre)のロゴデザインは、黒地に白で東京五輪のエンブレムに似た形が描かれている。

 エンブレムのデザイン盗用は否定する一方で、佐野氏は同じく盗用が指摘されたサントリー(Suntory)の販促キャンペーン賞品については、他のスタッフがデザインを写していたことを認めている。(c)AFP