【8月22日 AFP】マケドニアの機動隊は21日、同国とギリシャ国境の中間地帯に足止めされた、シリア人中心の難民らに向けて閃光弾を発射するなどして、少なくとも8人が負傷した。欧州では難民問題が危機的状況に陥っている。

 ギリシャとの国境に近いエドメニ(Edomeni)の村付近で、暴動鎮圧用の装備をつけた警官隊は、国境に押し寄せる難民を追い返すためにこん棒で殴ったり、閃光とごう音を発して標的を混乱させる閃光弾を投げたりした。煙を発した閃光弾に驚いた難民たちは逃げ回り、倒れて負傷した人や、顔を血だらけにした青年もいたという。

 この件を受け、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は警官が空に向けて発砲したとの報告もあり、「難民を押し返すのは国際法に違反しており、受け入れがたい行為だ」と同国警察の対応を非難した。

 マケドニアは20日、非常事態を宣言し、国境を封鎖した。同国を通過して欧州北部に移動し、新たな生活を始めることを希望する3000人の主にシリア人の難民たちが足止めされた。マケドニア政府は21日の一件後、子ども連れや妊婦など「脆弱(ぜいじゃく)な」難民の入国を許可し、約500人が国境を越えた。

 ギリシャとマケドニア国境地帯では、ここ数日間で難民の数が増加し、21日の一件は難民が警察の非常線に向かい「助けてくれ」と叫びながら押し寄せたことで発生したという。

 エドメニでは、数百人の難民が仮設テントや列車内、さらには線路上で寝泊りするなどしている。付近にはポータブルトイレが5つしかなく、ボランティア数人が難民を援助している。アムネスティは、難民の多くが医療支援を必要としており、中には内戦で負傷した人もいると警告した。(c)AFP/Jasmina Mironski with Vassilis Kyriakoulis