【8月18日 AFP】大規模な爆発事故によって壊滅的な被害を受けた中国・天津(Tianjin)は18日、雨が降り、片付け作業が困難になるとともに、毒物汚染拡大への不安が広がっている。

 当局によれば、事故が起きた天津北部の港湾地区には、毒性の強いシアン化ナトリウムが約700トン保管されていたため、雨で広範囲に流出する可能性があるという。

当局は、天津の大気と水は安全だと主張しているが、地元住民や犠牲者の遺族は不信感をあらわにし、国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)も、当局に透明性を要請した。

天津市環境保護局によると、17日は封鎖された地域内にある40か所の水質検査地点のうち8か所でシアン化物が基準を上回り、最も高い数値は基準の28.4倍だったことを明らかにした。 シアン化物は他に21か所の検査地点でも検出されたという。

天津市環境保護局によれば、汚染物質の流出を防ぐために、「爆心地」の10万平方メートル周辺を土砂でせき止め、雨水がたまらないよう、パイプラインなどで排水を行っているという。

シアン化ナトリウムは毒性のある白色の結晶、または粉末で、金鉱などさまざまな場所で工業用に使用されている。シアン化水素ガスが発生することもあるため、米国ではガス室による死刑執行に使われていたこともある。

米環境保護局(Environmental Protection AgencyEPA)によれば、濃度が比較的低い場合でも急性暴露した場合は、脱力感や吐き気、目や肌の炎症を起こす恐れがあり、慢性暴露の場合は、心臓血管や中枢神経系に影響を与える恐れがあるという。

■犠牲者114人の追悼式典

 18日には天津市内で114人の犠牲者を追悼する式典が開かれた。式典では、当局者や兵士らが頭を下げて犠牲者をしのんだ。18日までに死者、行方不明者の数はそれぞれ114人、57人に上り、31人の遺体の身元がまだ判明していない。(c)AFP