■厳しい職場環境

 容易ではないものの、モチロアさんは主に男性から成る22人のチームのリーダーを務めている。違う仕事に就けと言われることもあるが、彼女は一蹴している。

 深さ350メートルにもおよぶ坑道で、重機に囲まれた危険な場所は、普通の職場ではない。光はヘルメットのライトのみ。行く先を照らし、白のオーバーオールを着た男性たちが幽霊のように浮かび上がる。

 モチロアさんのチームにいる3人の女性のうちの1人、ノズコ・オガイル(Nozuko Ogyle)さんは、女性が認めてもらうには男性の2倍働く必要があると語る。「身体的にきつい仕事で、女性は自分たちにもできることを示さないといけない。ハラスメントの話はよく聞くけど、ここではない」

 アングロ・アメリカン・プラチナムは、南アフリカ最大の民間企業で、地下で働く女性を3081人雇用している。

 同社は女性が地下で1人で働かないようにするため、2人1組になる「バディー・バディー」システムを導入。セクハラのホットラインも設置した。他にも監視カメラを設置したり、女性の更衣室の入り口に生体認証システムを導入するなどの安全対策を講じている。

■要求される性的行為

 南アフリカのウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)のアサンダ・ベンヤ(Asanda Benya)氏が2009年に行った調査では、同国の主要産業である鉱業で女性が搾取されていることが分かった。「鉱山業の女性」と題された同研究では、女性労働者と性交渉を行っている上司の目撃情報が集められた。

 引退した元鉱山労働者のエリアス・モンザ(Elias Mkhonza)さんは、きつい仕事を手伝う代わりに女性に性行為を求める男性がいたと語る。「『おまえの仕事をやってやるから、代わりに何かしてくれ』といった感じだった。多くが地下で行われた。地上にはそれぞれのパートナーがいたからだ」(c)AFP/Sibongile KHUMALO