■末永くお幸せに

 米心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス(Psychological Science)」に掲載されたある論文は、そうしたデートサイトはたくさんの恋人候補を示してくれるが、多くの写真を見て比較していると、1人としっかり付き合おうという意欲が減退すると警告している。「相性やお互いに『化学反応が起きるか』などといったことを、コンピューターが計算できるという証拠」もほとんどない。

 それでも、カリキュラム・ディレクターのエミリー・ヘルフゴットさん(42)と図書館員のロバート・ウェインステインさん(44)は幸運なカップルだ。2012年にネット上で出会い、その後に結婚した。当時ウェインステインさんは前のパートナーと別れ、デートサイトの利用を再開したばかりで、一方のヘルフゴットさんも3年にわたってデートサイトを「時々」利用していたという。

 エミリーさんは「分かったことは、メールを何通かやりとりしているとだんだん内容が濃くなってきて、相手から何かを得たいっていう気分になってくる。そしたら、できるだけ早く会うべきだってこと」と自らの体験を説明する。

 2人はたまたま近所に住んでいて、普段立ち寄る場所も同じだった。でも、もしも実生活で出会っていたら、互いに好きになっていたかどうか分からないという。

 ロバートさんは「少々恥ずかしい」出会い方だったとしながらも、その恥ずかしさはすぐに消えたと話す。そして「色んな落とし穴や不快感や、動揺することなんかもオンラインデートにはある。でもやって良かったよ」と満足げな様子を見せた。

■テクノロジーで変わるのは「アプローチ」

 世界最大のデートサイトをうたう「マッチ(Match.com)」は、この20年の間に1000万組以上のカップルを米国内に誕生させたとしている。事実、米CNNテレビに出演した人類学者のヘレン・フィッシャー(Helen Fisher)氏によると、米国の成人の約31%が、直近の恋人とインターネットで出会っているという。

 もちろん、そこにも危険な「落とし穴」はある。世界に数百万人のユーザーがいるという不倫サイト「アシュレー・マディソン(Ashley Madison)」は最近、ハッカーに侵入され、ユーザーのデータを暴露すると脅迫されたのだ。

 それでも、「テクノロジーで変わるのは恋愛じゃない。アプローチの仕方。恋愛は不変だ。恋愛は古代からの脳のシステムだから」とフィッシャー氏は説明する。(c)AFP/Jennie MATTHEW