【8月6日 AFP】2020年東京五輪のエンブレムをデザインした佐野研二郎(Kenjiro Sano)氏が5日、記者会見を開き、盗用疑惑は「全くの事実無根」で驚いていると語り、自身のデザインについて詳細を説明した。

 先週、ベルギーに拠点を置くデザイナーのオリビエ・ドビ(Olivier Debie)氏が、東京五輪のエンブレムのデザインは、自身がデザインした同国にあるリエージュ劇場(Liege Theatre)のロゴから重要な要素を盗用したものであると主張し、法的手段に訴え出る可能性を示唆していた。それ以降では、佐野氏は初めて公の場に姿を現した。

 米ニューヨーク(New York)から反論のために急きょ帰国した佐野氏は会見で、「大変驚いている。全くの事実無根」、「ベルギーに行ったことはないし、ロゴを一度も見たことはない」と盗作を否定した。

 佐野氏はドビ氏のデザインは「TとリエージュのLから作られている」とし、自身のデザインは「正方形を9分割したもの」だとした。

 二つの間に同じ要素はあると認めた佐野氏だが、オリジナルのデザインを創り出すためにすべてを注いだとし、「世界に類のないエンブレムができたと確信した」と語った。

 また佐野氏は、1964年の東京五輪からインスピレーションを受けたとし、記者団に対してどのように最終的なデザインに行き着いたかを図を使って説明。「1964年の東京オリンピックの日の丸を組み込めないかと考えた」と明かした。

 ドビ氏の弁護士は先月31日、国際オリンピック委員会(IOC)に対して正式な申立書を送付したとしているが、劇場のロゴは商標登録されていないと明かしている。

 エンブレムは、東京、チーム、トゥモローを意味する「T」の字をベースとし、赤い円が心臓の鼓動をあらわしたものとなっている。一方、リエージュ劇場のロゴデザインは、黒地に白で東京五輪のエンブレムに似た形が描かれている。(c)AFP