【8月4日 AFP】世界の氷河は、過去120年の観測史上、最低の水準にまで縮小しているとの研究報告が3日、発表された。氷河融解のペースについては、21世紀の最初の10年間での加速が確認されたという。

 学術誌「Journal of Glaciology(氷河学)」に掲載された論文によると、氷河の厚みは現在、平均で年間50~150センチのペースで減少しているという。

 論文主執筆者で、スイスにある研究機関「世界氷河モニタリングサービス(World Glacier Monitoring ServiceWGMS)」のミヒャエル・ゼンプ(Michael Zemp)所長は「これは、20世紀における氷河の厚みの平均減少速度の2~3倍に相当する」と語る。

 世界10億人以上の、特にアジアや南米で暮らす人々は、飲料水の半分以上を雪や氷河氷の季節融解によって得ていることが、これまでの研究で明らかになっている。

 世界の氷河の現在の融解速度は、科学的観測の対象となった過去120年間、あるいはおそらくもっと長い期間において、前例のないレベルに達しているとゼンプ所長は指摘した。

 さらに、消失ペースが加速されていることにより、たとえ地球温暖化による世界気温の上昇が続かなかったとしても、多くの地域では氷河の縮小が止まらない動向が発生している。

 今回の論文では取り上げられていないが、過去5年間の予備分析データは、氷河質量の急速な減少が現在も続いていることを示唆している。

 氷河氷の消失量について、1998年に観測された20世紀の最高記録は「2003年、2006年、2011年、2013年と続けて更新され、また2014年にも更新される可能性が高い」とゼンプ所長は話している。(c)AFP