【8月1日 AFP】2020年東京五輪のエンブレムのデザインした佐野研二郎(Kenjiro Sano)氏が31日、盗作疑惑について否定した。

 総工費約2500億円とされる新国立競技場(New National Stadium Japan)の建設計画が見直される中、同五輪のエンブレムとベルギーの劇場ロゴとスペインのあるロゴの類似性をめぐって議論が巻き起こっている。

 ベルギーに拠点を置くデザイナーのオリビエ・ドビ(Olivier Debie)氏は30日、AFPに対し、自身がデザインしたリエージュ劇場(Liege Theatre)のロゴと東京五輪のエンブレムの類似に「当惑」していると語り、この件を法廷に持ち込むことを検討していると明かした。

 しかし、佐野氏は「海外作品についてはまったく知らないものです」と潔白を主張し、「制作時に参考にしたことはありません。1964年の作品へのリスペクトを持ちながら、日本らしさを自分のなかで追求してデザインしました」と声明を発表した。

 現在、国外へ出張中だとする佐野氏は、「帰国後、皆様にご説明できる場を設定させていただきたいと考えております」と付け加えている。

 ドビ氏はツイッター(Twitter)で佐野氏のデザインを批判し、「リエージュ劇場対2020年東京…#plagiat?(フランス語で「盗作」の意)」と、投稿している。

 ドビ氏の弁護士とリエージュ劇場の弁護士は31日、AFPの取材に対し、国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)へ、エンブレムの使用停止を求める正式な申し立て書を送付したと明かした。

 弁護士らは、満足を得られない場合、著作権乱用の是正のためベルギーの裁判所に申請を行う用意をしているという。

 先週発表されたエンブレムは、東京、チーム、トゥモローを意味する「T」の字をベースとし、赤い円が心臓の鼓動をあらわしたものとなっている。一方、リエージュ劇場のロゴデザインは、黒地に白で東京五輪のエンブレムに似た形が描かれている。

 一方で、このエンブレムについては、スペイン・バルセロナ(Barcelona)のデザインスタジオが、2011年の東日本大震災からの復興支援のために作ったロゴとも似通っていると指摘する声も上がっている。(c)AFP