【7月30日 AFP】仏ファッションブランド、エルメス(Hermes)の高級ハンドバッグやアクセサリーの製造に使用されるワニが、残酷な取り扱いを受けていると批判されている問題で、同社は29日、わに革を扱う業者に対する調査を開始したと述べた。

 問題の発端となったのは、動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of AnimalsPETA)」が公表した、米テキサス(Texas)州やアフリカ・ジンバブエにある施設で「残虐な」扱いを受けているとされるワニの画像だ。これを受け、英国出身の歌手ジェーン・バーキン(Jane Birkin)さん(68)は28日、同社のクロコダイル革のバッグ「バーキン」から自身の名前を外すようブランド側に求めていることを声明で明らかにした。

 名称の使用中止の要請をめぐり、エルメス側は「バーキンさんの思いを理解・尊重している。最近公開された画像には、われわれもショックを受けた」との声明を発表している。

 PETAは、これら施設での行為について、「生後約1年のワニが家畜銃によって失神させられたり、まだ意識があり痛みも感じることのできる間に切り刻まれたりしている」としており、さらに「『残酷な処置』がとられた後も、ワニは血だらけの容器の中や処置台の上で、数分にわたって脚や尾を動かし続けていた。これは調査員によって確認されている」と主張している。

 一方のエルメスは、テキサス州にある施設の調査を開始したことを明らかにしながら、「過失が証明されれば、問題点の修正と関係者の処罰を行う」としている。また、同施設についてはエルメスの所有ではないこと、そして同施設で生産されている種類のわに革(アリゲーター)がバーキンでは使われていない点を強調した。

 このたびの要請については、同社とバーキンさんとの間の「友情と信頼」になんら影響を与えるものではないとしている。(c)AFP