【7月28日 AFP】台湾で昨年、廃油を原料とした食用油が大量に出回っていたことが発覚した問題で、同国南部・屏東(Pingtung)県の裁判所は、中心的な役割を果たしたとされる食用油メーカー「強冠(Chang Guann)」の葉文祥(Yeh Wen-hsiang)会長に、懲役20年の判決を下した。この問題は台湾の食品産業を揺るがし、衛生福利部長(衛生相)が辞任に追い込まれていた。

 葉会長はまた、調理器具や揚げ物用の鍋、グリース・トラップ(排水中の油脂分の阻集器)、皮革加工工場の再処理油脂などから集めた汚染された油243トンの販売に関与した罪で、5000万台湾ドル(約1億9600万円)の罰金も命じられた。

 葉会長は廃油販売が明るみに出た後、昨年9月に身柄を拘束されたが、10月に保釈された。先週、食品安全法違反で有罪を言い渡され、24日に懲役刑の判決を下された。また裁判所によれば、強冠の副社長にも、食品安全法違反で懲役20年が言い渡された。

 当局によると、今回の件で台湾および香港(Hong Kong)では、大量のケーキ、パン、即席麺、クッキー、点心、餃子などが店頭から撤去された。台湾の食品薬物管理署によれば、同国内で問題の油を使用していた店は、レストランやベーカリー、食品工場など、1000か所以上に及ぶ。非難の声を受け、台湾の衛生福利部長は辞任に追い込まれていた。(c)AFP