【7月28日 AFP】米国とトルコは、シリア北部からイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」を一掃することを目指し、協力していく方針で一致した。米政府高官が27日明らかにした。情勢を一変させる可能性のある合意といえる。

 同高官はAFPに対し、トルコ・米両政府は「ISIL(ISの別名『イラク・レバントのイスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant)』の略称)を排除した地帯を設置し、トルコのシリア国境付近の安全と安定の強化を図る」ことを目指していく意向だと伝えた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領のエチオピア訪問中に、匿名を条件に取材に応じたこの高官はIS排除地帯の詳細については「今後詰めていく」ことになるとしているが、「どんな合同軍事行動に踏み切るにしても」かねてトルコが要請してきた「飛行禁止空域の設定は含まれない」としている。

 今回の合意により、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のうち唯一イスラム教徒が国民の大半を占めるトルコには、すでにISと「地上で戦っている米国のパートナーら」への支援が求められることになる。

 しかし、トルコはISとの戦いよりも、シリアとイラクに存在するクルド人武装組織を抑制することの方に大きな関心を持っているのではないかと疑う見方も広がっている。

 アフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)首相は、非合法化されているクルド人武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' PartyPKK)」が武装解除するまで、同組織に対する軍事作戦を強化していくと述べた。

 PKKはトルコ南東部で数十年前から反体制運動を展開している。ダウトオール首相はATVテレビで「一定の成果が得られるまで戦闘を継続する」と語り、PKKに対し同組織が2013年に約束した武装解除を実行するよう促した。

 PKKについては米国も「テロ組織」と認定している。米国務省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は、トルコには「自衛権がある」と強調した上で、米が主導する「ISILとの戦いはPKKとの協力や調整、情報伝達を通じて行っているものではない。ISIL掃討に向けわが国を支援してくれている有志国62か国との連携で行っている」と述べた。(c)AFP/Fulya OZERKAN with Andrew BEATTY in Addis Ababa