トランプ氏は23日、金色の巨大な文字で自分の名前が書かれたプライベートジェットでテキサス(Texas)州のメキシコ国境に現れ、不法移民を非難すると同時にラテン系への好意を宣言した。この様子は米CNNテレビで生中継で取り上げられたが、対照的に同じ日に出馬宣言をしたオハイオ(Ohio)州のジョン・ケーシック(John Kasich)知事はほとんどメディアに無視された。

 共和党のライバル候補たちは、これほど予想外な、大衆受けする候補者をかわす術を知らない。NBCテレビ政治部ディレクターのチャック・トッド(Chuck Todd)氏は「トランプ氏を攻撃し、排除すればするほど、彼に勢いが出てしまうことを他の候補者たちは懸念している」という。一方、「ザ・ドナルド」の愛称で呼ばれ、100億ドル(約1兆2000億円)の資産があると語り、選挙資金は自腹でまかなっているというトランプ氏はこうした注目を楽しんでいるようだ。

 現代の米国で最も有名な政治コメディアンのジョン・スチュワート(Jon Stewart)氏は8月で長年務めた政治風刺番組「ザ・デイリー・ショー(The Daily Show)」のキャスターを降板するが、トランプ氏に関する風刺を連日披露し「ドナルド・トランプよ、ありがとう。私の最後の6週間を最高の6週間にしてくれて」と述べた。

 しかしユーガブの世論調査によると、共和党予備選の登録有権者のうち、トランプ氏が共和党の大統領候補指名を勝ち取ると思っている人はわずか10%。36%でダントツに有望視されているのは、父と兄が米国大統領経験者の元フロリダ(Florida)州知事、ジェブ・ブッシュ(Jeb Bush)氏だ。(c)AFP/Brigitte DUSSEAU