【7月24日 AFP】陸上男子5000メートルと1万メートルで五輪と世界選手権を制したモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)が23日、ドーピング疑惑が指摘されているコーチのアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏について、口にできることはすべて話したと明かした。

 サラザール氏は、当時16歳だったゲーレン・ラップ(Galen Rupp、米国)にテストステロン(testosterone)を投与し、さらに処方薬の乱用を働きかけたとの疑惑にさらされている。ラップとともに練習を行っているファラーは、この疑惑を受けてマスコミの取材攻勢を受けている。

 ファラー自身には反ドーピング規則に違反したという事例はないが、2012年のロンドン五輪前に2度薬物検査を飛ばしたことが明らかとなっている。

 2011年からファラーを指導しているサラザール氏は、1万1000字に及ぶ声明で疑惑を否定している。

 英ITVの「グッドモーニング・ブリテン(Good Morning Britain)」でファラーは、サラザール氏の薬物疑惑について「脇に置いたのですか」と問われると、「えぇ、確かにそうです」と応じた。

「立派なことではありませんが、それと同時に私は答えられることはすべて答えましたし、私の手に負えないことで、(自分に)できることはないんです」

 一方で、男子短距離のウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)は、この騒動について友人であるファラーに同情を寄せている。

「日々新聞に書かれ、メディアが彼を傷つけようとしているからモー(Mo、ファラーの愛称)のことは気の毒に思う」

「彼は努力を重ねて今の地位にいるのに、誰かの過ちが彼に問題を招いている。あまり深く考えすぎず、ストレスでまいらないよう願っている」

 またボルトは、サラザール氏の味方につくというファラーの決断を支持している。

「コーチを信頼するのは、コーチがどういう人間かを分かっているからだ。彼のことをアスリートとして支持したい。彼がコーチを信頼しているのなら、僕も彼を信頼する」

 第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)を控えるファラーは、24日に3年前のロンドン五輪で2冠を達成した五輪スタジアム(Olympic Stadium)で行われるダイヤモンドリーグ2015(IAAF Diamond League 2015)のロンドン大会(Sainsbury's Anniversary Games)で、男子3000メートルに出場する予定となっている。ボルトは、100メートルに出場する。(c)AFP