【7月24日 AFP】大韓航空(Korean Air)の前副社長、趙顕娥(チョ・ヒョナ、Cho Hyun-Ah)被告が自社の旅客機内で受けたサービスに激怒して離陸を遅らせたいわゆる「ナッツ事件」で、同機から降ろされた客室サービス責任者のパク・チャンジン(Park Chang-Jin)氏が、趙被告を相手取って精神的な苦痛を受けたとして損害賠償を求める訴訟を米ニューヨーク(New York)の裁判所に起こした。

 AFPが24日に確認した訴状の写しによると、パク氏は22日、虐待により受けた精神的苦痛に対する損害賠償を求めて、趙被告個人をニューヨーク州高裁に提訴した。被告に大韓航空は含まれていない。

 大韓航空の会長の長女で副社長だった趙被告は昨年12月5日、ニューヨークから韓国ソウル(Seoul)へ向けて離陸直前の同航空機内で、客室乗務員がマカダミアナッツを皿に出さず袋のまま提供したことに激怒。責任者のパク氏を呼びつけて厳しく叱責した。

 訴状によれば、趙被告はその際、パク氏を出血・打撲するほど殴りつけ、パク氏が懇願しても暴行をやめなかった。そのため「深刻な精神的苦痛」を強いられたパク氏は、医師から重度のパニック障害で少なくとも1年間の治療が必要だと診断されたという。

 パク氏については、既に韓国の勤労福祉公団(Korea Workers' Compensation and Welfare Service)が労災と認定している。

 同事件では、女性客室乗務員のキム・ドヒ(Kim Do-Hee)さんも、ナッツを出した際に趙被告から暴力や脅迫を受け猥雑な言葉を投げかけられたうえ、事件の隠蔽(いんぺい)目的で政府の調査官に虚偽の証言をするよう強要されたとして、3月に趙被告をニューヨークの裁判所に提訴している。(c)AFP