■危険なことで有名な坂

 落車の経験があるトーマスは、やや冷めた様子で今回の出来事を振り返った。

「これが危険な下りだということは、みんな知っている。僕がそこで被害に遭った―100%(バルギルによる)ミスだね」

「今は特に問題ない。でも、そのうちに医者が、名前と生年月日を聞いてくるかな」としたトーマスは、その場合はクリス・フルーム(Chris Froome)と名乗るとおどけた。

「優しいフランス人が僕を引き上げてくれたけど、眼鏡もなくしたんだ。あれはもう売っていないんだよ」

 ギャップ(Gap)に向かう下りは、以前から危険なことで知られており、今回のカーブだけでなく、他の場所でもライダーを危険な目に遭わせてきた。

 今回のアクシデントでは、バルギル自身も転落を間一髪で免れている。

 また、このアクシデントを予想するかのように、トーマスは英国放送協会(BBC)のコラムで「危険な」下り坂についてコメントしていたのだ。

「2003年のツールでは、ホセバ・ベロキ(Joseba Beloki)が倒れて、ランス・アームストロング(Lance Armstrong)がそれを避けるため道を外れて野原に出ざるを得なかった」

「最近では、2013年にフルームとアルベルト・コンタドール(Alberto Contador、スペイン)が道の脇に外れた」

(c)AFP