【7月21日 AFP】(写真追加)スペイン・マドリード(Madrid)のプラド美術館(Prado Museum)で貴重な展示品に触れようとすれば、いつもならば美術館のスタッフに止められるだろう。しかし今年1月から開催している視覚障害者向けの展覧会「タッチング・ザ・プラド(Touching the Prado)」では、作品に触れることができる。

 同美術館初の試みとなるこの企画展のために、ディエゴ・ベラスケス(Diego Velazquez)やエル・グレコ(El Greco)、フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)といった巨匠の6作品が複製され、出展されている。複製画には浮き彫り(レリーフ)の技法によって、ボリュームと質感が付加されており、全盲の人や視覚に制限がある人も、手で触れることで心の中に絵画のイメージを描くことができる。絵の鑑賞法をアドバイスする音声ガイドや、盲導犬のための水飲み用ボウルなども用意されている。

 今回は同美術館の幅広いコレクションを代表し、ボリュームを与えることで細部を強調できる作品が、複製される絵画として選ばれた。同展覧会を担当する学芸員によると、他の国の美術館でも同様の技法を用いて視覚障害者向けに作品を複製してきた例はあるが、絵の大きさはもっと小さく、色彩はモノクロだったという。プラド美術館の複製はオリジナルと同じ比率を保ったまま、視覚障害者が全体を触れて感じることができる大きさに縮小されている。

「タッチング・ザ・プラド」展は10月18日まで。その後、プラド美術館ではスペイン国内で、同展の巡回展を行うことを計画している。(c)AFP/Daniel SILVA