【7月20日 AFP】米国で大規模軍事演習「ジェイド・ヘルム15(Jade Helm 15)」の始まりが近づいていた頃、近く食料をめぐる暴動が発生し、戒厳令が敷かれるといった陰謀論が一部で浮上した。反体制派は暗殺される、小売り大手ウォルマート(Wal-Mart)の店舗が捕虜収容所になる、外国の部隊が支援に投入されるなどのうわさも流れた。

 その後、米テキサス(Texas)州知事がジェイド・ヘルム15を監視するよう同州の州兵に指示したことで、陰謀論を信じる人々の確信は強まった。政府軍に没収されないよう銃器を土に埋めて隠した人や、弾薬や物資を備蓄した人もいると伝えられている。

 ジェイド・ヘルム15は兵士1200人が参加し米国の7州にまたがって行われる特殊作戦の大規模演習だが、今月15日にひっそりと始まった。演習地の一つ、人口約7000人の町テキサス州バストロップ(Bastrop)には「バストロップにゲシュタポ(Gestapo ナチスドイツの秘密国家警察)はいらない」と書かれた抗議のプラカードや、自動小銃のイラストの下に「来て(銃を)取れ」の文字が入ったTシャツを着た人々が集結。しかし演習3日目のバストロップの町は気味が悪いほど静まりかえっていた。

 兵士の姿を見た人も、よそから来て兵士の一挙一動を監視すると明言していた陰謀論者を見た人も、どうやらいない様子だ。バストロップのスティーブ・アドコック(Steve Adcock)警察署長はAFPに対し、「通報の電話は一本もない」と語った。「何らかの事態の発生も想定していたが、実際には何も起きていない」

 地元当局者や一部の住民は、陰謀論者の抗議行動のせいでバストロップに注目が集まったことに不快感を持っている。バストロップは州兵の倉庫と訓練施設があるキャンプ・スイフト(Camp Swift)からわずか数キロしか離れていない。アドコック署長によると、軍に対する地元住民の支持は強い。今年4月に開かれた住民集会で怒気もあらわに軍の中佐に食ってかかった人たちの中に同署長が知っている人はいなかったという。同署長は「陰謀論者の多くは地元住民ではない」と語った。