■広がる不安

 政府がキリスト教徒や自由主義者など「国家の敵」を再教育するキャンプを建設中だとする説は荒唐無稽とはいえ、その根底にある不安は広がっている。米世論調査会社ラスムセン・リポーツ(Rasmussen Reports)が今年5月に実施した調査によると、「政府は個人の自由にとって脅威だ」と答えた人は全体の約60%、「政府が軍事演習を利用して州への支配を強める」のを心配していると回答した人は全体の3分の2に上った。その一方で、地元の州での軍事演習に反対する意見は16%にとどまった。

 米陸軍は地元の住民に対し、道路交通量が若干増えたり、軍用機が限定的に使用され、それに伴う騒音が発生したりする点を除けば、軍事演習が日常生活に与える影響は「ほとんどない」と何か月もかけて説明した。

 長時間に及んだバストロップの住民集会でうそつきと呼ばれて拍手喝采が起きた時、マーク・ラストリア(Mark Lastoria)中佐は目に見えて動揺していた。集会のもようを撮影したビデオに映された同中佐は、はっきりと聞こえるため息をついて「戒厳令の準備ではありません」と話した。「一部の方々はまさに本気でこの訓練を何か別のものにしようとしていますが、われわれは兵士たちを外国での戦闘のために訓練したいだけなのです」

 ただし、民間人の服装をした兵士に「不審な行動」をさせたり、地図上でテキサス州とユタ(Utah)州を「敵地」と表示したりといった迫真の訓練にするための努力は、連邦政府の抑圧を確信する人々を一層不安にさせている。(c)AFP/Mark Henricks