【7月18日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は17日、2000億円以上とされる建設費が批判を集めている2020年東京五輪のメーンスタジアムとなる新国立競技場(New National Stadium Japan)について、計画を白紙に戻すよう指示した。

 安倍首相の指示により、2019年ラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)の組織委員会は、決勝戦が行われる新たな舞台を選定することになる。

 日本スポーツ界トップとの会談後に安倍首相は、「ゼロベースで計画を見直すと決断した」と語った。

「計画を見直すことができないか検討を進めてきた。開催までに間違いなく完成することができると確信したので決断した」

「できるかぎりコストを抑制し、現実的にベストな計画を作っていく考えだ。大至急、新しい計画を作らなければならない」

 イラク出身で英国在住の建築家、ザハ・ハディド(Zaha Hadid)氏がデザインした新国立については、その斬新なデザインに対し日本人建築家の間で批判の声があったが、さらに建設費の問題が判明し、国民的論争を巻き起こしていた。

 安倍首相の指示を受けて下村博文(Hakubun Shimomura)文部科学相は、コンペをやり直すことを明かし、「半年以内にデザインを決める。50か月強で完成させる。2020年春の完成を目指す」とコメントしている。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、この決定はすでに通達済みで、IOCとしては五輪の協定を守るために新スタジアム計画を注視することを示唆している。

 計画白紙撤回の最初の犠牲者となった2019年ラグビーW杯は、東京か横浜で決勝をはじめとした試合会場を新たに見つけなければならない。

 ラグビーW杯について安倍首相は、「ラグビーW杯には残念ながら間に合わせることはできないが、今後もラグビーW杯に国としてしっかりと支援していくその考えに変わりはない」と語っている。

 また、ハディド氏の事務所は17日夜にホームページで声明を発表し、スタジアム建設費の高騰はデザインのせいだという見解を否定した。

「建設費増加の理由はデザインでのせいだという報道は事実ではありません。本当の問題は東京の建設工事費の急騰および、時間制限にあります」

(c)AFP/Alastair HIMMER