【7月12日 AFP】(一部更新、写真追加)メキシコ治安当局は12日、麻薬密売組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の最高幹部で麻薬王として知られる「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者(58)が、メキシコ市(Mexico City)郊外の刑務所から脱走したと発表した。グスマン受刑者の脱獄は2001年に次いで2回目。

 国家公安機構の声明によると、グスマン受刑者はメキシコ市の西方90キロに位置するアルティプラーノ(Altiplano)の刑務所に収容されていた。同受刑者は11日夜、独房内のシャワー室にいるのが監視カメラで確認されたのを最後に姿を消したという。

 アルティプラーノの刑務所には麻薬組織の幹部や殺人犯、誘拐犯などが収容されており、特に厳重な警備が敷かれている。

 国家公安機構によれば刑務所側の調査で、グスマン受刑者が最後に目撃されたシャワー室に深さ10メートルの穴が見つかった。はしご付きの穴は長さ1.5キロのトンネルにつながっており、刑務所外の建物が出口となっていた。高さ1.7メートル、幅80センチのトンネルには換気装置や照明も備わっていたという。

 当局は、刑務所周辺と近隣の州の各地に検問を設け、警察と治安部隊を動員してグスマン受刑者の行方を追っている。また、刑務所にほど近いトルカ(Toluca)の空港では、全航空便の運航が一時停止されたという。

 グスマン受刑者は2001年に洗濯物のカートに隠れて脱獄した後、逃亡を続け、2014年2月の拘束作戦で再び身柄を拘束されていた。(c)AFP/Jennifer Gonzalez Covarrubias with Laurent Thomet in Mexico City