【7月11日 AFP】欧州航空機大手エアバス(Airbus)は10日、航空史上初めて電気飛行機による英仏海峡の横断飛行に成功したと発表した。しかし、1日前にはフランス人飛行士ユーグ・デュバル(Hugues Duval)氏が同様の発表を行っており、「初横断」はどちらか、両者の主張がぶつかっている。

 エアバスの電気飛行機「Eファン(E-fan)」は、英イングランド(England)南東部沿岸に位置するリド空港(Lydd Airport)から10日午前10時15分(日本時間同日午後6時15分)、ディディエ・エステーヌ(Didier Esteyn)飛行士の操縦によって離陸した。雲のない晴天の中、74キロ離れた海峡の対岸にある、仏カレー・ダンケルク空港(Calais Dunkerque Airport)まで高度3500フィート(1067メートル)を飛行し、所要時間38分間で到着した。

 一方、もう1人のフランス人飛行士、デュバル氏は前日の9日、双発エンジンの電気飛行機「クリクリ・E・クリスタリン(Cri-Cri E-Cristaline)」で、仏カレーから英ドーバー(Dover)まで渡り、着陸せずに帰還したと主張した。

 しかしエアバス側は、クリクリは自力で離陸しておらず、洋上で大型の飛行機から分離される形で飛行を開始したと指摘した。またデュバル氏は、申請すれば拒否されることを恐れ当局に飛行許可を求めなかったと述べている。

 エアバスが今回使用した「Eファン2.0」は2人乗り電気飛行機で、全長6.7メートル、両翼を含む幅は9.5メートル、重量は600キロ。2010年4月以降、100回を超える試験飛行を行っている。搭載したリチウムイオン電池は今回の英仏海峡横断の全行程で53分間使用したが、飛行後も21%の電池残量があったという。(c)AFP/Remi BANET