■1日数ドルで掘った鉱石が金塊に

 野営地が遠隔地になるほど人は混み合い、インフラ不足で水が原因となる感染症の危険も高い。国連によるとドラッグも「まん延」しており、これは国境警備にも脅威を与えうる。

 リベリア政府の評価では、13年1~9月に輸出された金は416.5キロ、金額にして1650万ドル(約20億円)相当だったが、業界筋は年間産出量を3000キロ近くと推計している。一方、同年の金による政府収入は50万ドル(約6000万円)程度。合法な業者は、市場がモーリタニアやセネガル、ガンビアやマリの違法業者に占領されつつあると訴えている。しかし最も損をしているのは労働者だ。賃金は1日数ドル、あるいはまったく支払われないことさえある。

「ダーク・フォレスト」で産出される金は、マンディンカ(Mandingo)族やフラニ(Fulani)族の仲介人を通じ、首都モンロビアや隣国のギニアやコートジボワールへと流れ、そこで金塊に加工されてアラブ首長国連邦(UAE)へ送られる。

 リベリア当局と国連は12年、国境地帯での金採掘をすべて中止することで合意したが、実際には履行されていない。国連は、インフラ不足や多くの鉱山が遠隔地にあること、ひっ迫したリベリア政府の財政状態では人員を割けないことなどが、規制を極めて緩くしていると指摘する。

 一方、地元自治体は、金採掘で多くの若者の生活が少しでも支えられている事実を認める。グランドゲデ郡の高官、ピーター・ソロ(Peter Solo)氏は、もしも金採掘がなければ、若者たちの問題はもっと大きく、深刻化するだろうと語る。金採掘は国境地帯の集落にとって主な収益源となっているだけではなく、今では首都からも大勢の若者が労働者としてやって来始めている。(c)AFP/Zoom Dosso