【7月6日 AFP】ギリシャが5日に実施した国民投票は欧州連合(EU)などが求める財政緊縮策への反対票が多数を占めた。

 反対多数ならギリシャのユーロ圏離脱につながりかねないとの警告を押し切ってギリシャ国民が緊縮策に「ノー」を突き付けたことに、欧州の指導者らは不安感と警戒感が交ざった反応を示している。

 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ、Eurogroup)のイェルン・デイセルブルム(Jeroen Dijsselbloem)議長(オランダ財務相)は、ギリシャの将来にとって「非常に残念な結果」と評した。

 ドイツのジグマル・ガブリエル(Sigmar Gabriel)副首相兼経済・エネルギー相は、事態はもっと悪いと受け止めている。ガブリエル氏は「欧州とギリシャが妥協案を見いだす最後の懸け橋をぶち壊した」としてギリシャのアレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相を批判した。

 EU首脳の多くが、国民投票前に表明していたギリシャの不透明な今後についての警告を繰り返すことを避ける中、スロバキアのペテル・カジミール(Peter Kazimir)財務相はツイッター(Twitter)で、「きょうギリシャ国民がNoに投票したことで、加盟国の脱退という『欧州連合発案者』たちにとっての悪夢が現実的なシナリオとなってきた」と述べた。

 フィンランドのティモ・ソイニ(Timo Soini)外相は自国のテレビで、ユーロ圏におけるギリシャの将来は欧州の納税者がギリシャのために「快く金を出すかどうか次第だ」と述べた。ソイニ氏はEU懐疑派政党フィン人党(Finns Party)党首でもある。

 一方、EU諸国でも反緊縮財政派やEU懐疑派の政党は、ギリシャ国民がEUを拒絶したことで勢いづいている。

 EU離脱を掲げる英国独立党(UK Independence PartyUKIP)のナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)党首は「EUというプロジェクトは、もう死に体だ」と述べ、EUからの政治的・経済的圧力に屈しなかったとしてギリシャ国民の「勇気」を称賛した。

 ギリシャの与党・急進左派連合(SYRIZA、シリザ)とも近いスペインの左派新党ポデモス(Podemos)も国民投票結果を歓迎。パブロ・イグレシアス(Pablo Iglesias)党首は「きょう、ギリシャの民主主義は勝利した」とツイッターに投稿している。(c)AFP/Clare BYRNE