【7月2日 AFP】イタリアの検察当局は6月30日、「ブンガブンガ」と呼ばれた性的なパーティーをめぐる事件で、シルビオ・ベルルスコーニ（Silvio Berlusconi）元首相（78）がパーティーに参加した女性らにあわせて約1000万ユーロ（約13億6000万円）相当の金品を渡し、パーティーで起きたことについて沈黙を守るよう要求していたことが分かったと発表した。

 ミラノ（Milan）地検のティツィアーナ・シチリアーノ（Tiziana Siciliano）検察官は記者会見で、ベルルスコーニ元首相が司法妨害を画策していたことは疑いようがないと語った。

 妨害が行われたとされるのは、当時17歳だった「ハート泥棒のルビー（Ruby the Heart Stealer）」ことカリマ・エル・マフルーグ（Karima El Mahroug）さんを買春したとしてベルルスコーニ元首相が捜査の対象となり、その後裁判になった時期だという。

 この裁判では、相手が未成年だったことを知ることはできなかったとしてベルルスコーニ元首相には今年3月、無罪判決が言い渡された。マフルーグさんは、盗聴された友人との通話でベルルスコーニ氏と性的関係を持ったと語ったのは嘘だったと主張し、性交はなかったと証言した。

 だが、ベルルスコーニ元首相のさまざまな邸宅で行われた性的なパーティーに出席したマフルーグさんら若い女性たちへの取り調べなどから、同元首相が女性たちに現金や自動車、医療費の肩代わり、融資などを通じて700万ユーロ（約9億6000万円）相当の金品を与えていたことが明らかになった。

 またベルルスコーニ元首相は若い女性たち以外にも300万ユーロ（約4億円）相当の金品を渡し、女性21人を含む計34人に対し、事件について沈黙を守るよう要求していたという。シチリア―ノ検察官はこの34人には贈収賄や偽証の容疑がかかっていると語った。

 34人の中にはベルルスコーニ元首相や同氏の弁護士の1人、性的なパーティーに音楽を提供していた歌手とピアニストらも含まれている。パーティーは、最初は優雅な夕食会として始まるが、最終的に乱交パーティーになったとされている。

 ベルルスコーニ元首相の弁護団はこれらの贈り物について、同元首相の気前の良さを表しているものに過ぎないと反論している。だがシチリアーノ検察官は、集まった証拠に照らせば、そういった主張は「あっという間に消え失せる」と述べた。

 ベルルスコーニ元首相が新たに訴追されることはほぼ確実とみられる。(c)AFP