【7月1日 AFP】オーストラリア・アデレード(Adelaide)のアデレード動物園(Adelaide Zoo)は6月30日、ワラビーに「乳母」役を務めさせる手法で、カンガルーの赤ちゃんを飼育することに成功したと発表した。

「マカイア」と名付けられたセスジキノボリカンガルーの赤ちゃんの母親は昨年11月、落ちてきた木の枝の下敷きになって死んだ。生後わずか5週間だったマカイアは手で育てるにはまだ幼すぎたため、飼育員らは雌のシマオイワワラビーのおなかの袋にマカイアを入れてみるという賭けに出た。

「カンガルーの赤ちゃんが最初の危険な24時間を生き延びたことが分かったときは本当にうれしかった」と飼育員のゲール・メールズ氏は振り返る。「初めて袋から顔をのぞかせたのは1月のこと。赤茶色の毛皮、明るい青い目、長いかぎ爪。間違いなくキノボリカンガルーの赤ちゃんだった」

 同動物園の獣医師デービッド・マクレランド氏によると、同氏が知る限りでは、キノボリカンガルーの赤ちゃんを異なる種の動物が育てるのは初めての試みだという。マカイアは「ワラビーママ」に3か月半育てられた後、飼育員の手に委ねられた。

 国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature)が「絶滅危惧IB類」に分類しているセスジキノボリカンガルーは通常、最初の数か月を母親の袋の中で過ごし、その後、ゆっくり時間をかけて自立する。(c)AFP