■「良い暮らし」のイメージ構築

 ISは民政のあらゆる側面を管理し、学校のカリキュラムを書き換え、イスラム法廷を設置、イスラム法を順守させるための警官隊(男性版は「ヘスバ(Hesba)」、女性版は「カンサ旅団(Khansa Brigade)」と呼ばれる)も組織した。

 また、教育に重点を置き、従来の学校や大学を1年間閉鎖して、新しいコースを作った。数学や英語の授業はまだあるが、古いカリキュラムでその他に残っているものはほとんどない。イスラム法学やジハード、コーランに関するコースが新しく加えられた。

 ISは車が走る道路や、客でいっぱいの店を撮影した動画を見せることで、ラッカでの「良い暮らし」というイメージを広めようとしている。

 ISはまた、シリア政府側への協力、窃盗、「魔術」、同性愛といったさまざまな「犯罪」について処罰を下している。日常的に斬首刑を行い、人々を投石で殺害したり、建物の屋上からつき落としたりすることもある。

 頭にかぶるベールで目を覆っていない女性には金1グラムの、あごひげを剃った男性には100ドル(約1万2000円)相当の罰金が科せられる。

 英国を拠点とする非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によれば、ISは「カリフ制国家」樹立を宣言した昨年6月末から今年5月末までの間に、シリアで2618人を処刑した。