【6月23日 AFP】シリアで政府の刑務所に収容された女性たちが内戦の「武器」として利用されている実態が、国際人権団体「欧州地中海人権ネットワーク(Euro-Mediterranean Human Rights NetworkEMHRN)」が22日に公表した報告書のなかで明らかになった。

 42ページからなる報告書「Detention of Women in Syria: A Weapon of War and Torture(シリアにおける女性の拘束:戦争の兵器と拷問)」は、元収容女性たちの聞き取り調査などをもとに、政府刑務所での性的虐待や拷問などの実態をまとめたもの。同ネットワークは女性たちの拘束は恣意(しい)的なものと評し、「現在進行中のシリア内戦において女性たちの兵器化はますます進み、社会機構や内戦終結の見通しに悪しき影響をもたらしている」と警告した。

 報告書には政府による女性への大規模で組織的な「おぞましい人権侵害」の詳細がまとめられている。刑務所には妊娠中の女性もおり、18歳以下の子どもと一緒に収容されていた母親たちもいた。また反体制派武装グループとの人質交換で取引の材料として女性が用いられることもあったという。

 2児の母親で過去に刑務所に収容されていた38歳の女性は、生理中だったにも関わらず「ネズミがたくさんいる冷え切った部屋」で裸で立たされたまま取り調べを受けたと証言。息子が見ている前で治安部隊の兵士10人からレイプされたとの証言や、反体制派の兵士と「聖戦セックス」を練習していたなどとうその自白を強要されたとの証言もある。

 英国に拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」の推定では、シリア政権の勾留施設には20万人以上が拘束され、このうち数千人が女性とみられている。(c)AFP