【6月19日 AFP】カンガルーには左利きが多いとする研究が18日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された。

 研究を主導したのは、ロシアのサンクトペテルブルク大学(Saint Petersburg State University)のエゴール・マラシチェフ(Yegor Malashichev)氏。これまでカエルとフクロネズミの利き手を研究してきたが、このほど初めてカンガルーに着目した。

 同氏の研究によると、オーストラリア本土と南部のタスマニア(Tasmania)島に生息する野生のカンガルーには「鼻先をなでて毛づくろいしたり、木の葉を取ったり木の枝をつかんで曲げたりする際、自然に左手をよく使う傾向がみられた」という。

 左利きの傾向は特にオオカンガルーとアカカンガルーで顕著だった。一方、ベネットアカクビワラビーの場合は、細かい動作では左手を、強い力が必要な動作では右手を使う傾向があった。

 また、霊長類の利き手を調べる指標に当てはめると、カンガルーの利き手能力は秀でているとマラシチェフ氏は指摘している。右手より左手を好んで使う傾向は二足歩行動物に全般的にみられるが、カンガルーは右脳と左脳をつなぐ神経回路が欠落しているため、この結果は全く予想していなかったという。

「観察を続ければ続けるほど、自然界にはまったく新しく興味深い発見があると気づかされる」と同氏は語っている。(c)AFP