【6月17日 AFP】控えめな量のチョコレートは心臓に良い可能性があることを示す暫定的な証拠が数万件のデータから示されたとの研究論文が15日、発表された。

 英科学者らは、約2万1000人を対象に調査を行った。対象者らは生活スタイルに関するアンケートを提出したほか、11年にわたる健康状態のモニタリングにも参加している。

 対象者の1日あたりのチョコレート消費量は、0~100グラムと幅広く、平均値は7グラムだった。

 チョコレートをよく消費する上位5分の1は、消費下位5分の1と比べ、心臓疾患を発症する可能性が12%、心臓発作では同23%とそれぞれ少なかった。

 英誌「Heart(心臓)」に掲載された研究では、対象者の大半は、抗酸化作用があるとされるフラボノイド含有率の高いダークチョコレートではなく、ミルクチョコレートを食べていたことに注目。フラボノイドだけでなく、カルシウムや脂肪酸といった、ミルクに関係する他の成分も、今回の観察結果を説明するものである可能性があるとしている。

 しかし、スコットランド(Scotland)アバディーン大学(University of Aberdeen)の研究チームは、今回の研究結果には「限界」があることを認めている。同研究はあくまで観察に基づくもので、因果関係を示すことはできず、状況的な関連を表したに過ぎない可能性があるためだ。

 もう一つの疑問は「因果関係の逆転」に見出される。それは、心血管障害のあることを認識している対象者が、より健康的な食生活を心がけ、チョコレートの消費量を減らしていた可能性があることだ。

 ただ、同研究チームによると、合計13万人以上を対象とした別の研究を調査したところ、やはりチョコレートの定期的な消費には有益な関連が見られたという。

 一方、研究に参加していない専門家らからは、過剰なチョコレート消費は体重を増加させ、心臓に負担をかける恐れがあるとして、今回の成果に対して、より慎重な立場をとっている。(c)AFP