【6月15日 AFP】アフリカのウガンダで、毎日のトップニュースをラップに乗せて送るニュース番組「ニューズビート(Newzbeat)」が人気だ。ラッパーからジャーナリストに転身した若いキャスターたちは「ラポーター(rap-orter)」と呼ばれている。

 ウガンダでは報道機関に対する検閲の圧力が厳しく、また、人口の多くを占める若者は時事問題にほとんど関心を持たない傾向がある。ヒップホップでニュースを聞くのは奇妙な感じがするかもしれないが、そうした中、韻を踏みながらニュースを伝えるこの番組が受けている。

「ニューズビート」は2014年に放送開始。毎週土曜の午後、人気チャンネルNTVの従来のニュース番組の前に、英語と現地語ルガンダの2言語で放送されている。

■「報道の限界を押し広げろ」

 番組のキャスター陣は、「レディ・スライク(Lady Slyke)」の名で知られるウガンダ・ヒップホップ界の女王シャロン・ブウォギ(Sharon Bwogi)さん(28)、雄弁でドレッドヘアがトレードマークのダニエル・キセカ(Daniel Kisekka)さん(40)、10代のラッパー、ゾウィー・カブイェ(Zoe Kabuye)さん。

 ブウォギさんによると、この番組の狙いは「社会の隅に置かれている人たちのために多様性や認知を促し」、ウガンダの「報道の制約」による限界を押し広げることにあるという。デザイナーでもあるブウォギさんはAFPに「初めの頃は苦情もあったけれど、今ではあらゆる階層の人が番組を見ている」と語った。

 ウガンダでは汚職が深刻で「ニューズビート」でもこの問題をよく取り上げている。しかも、この国では汚職問題を取り上げようとした記者がトラブルに巻き込まれることさえ度々だ。ウガンダの記者擁護団体「ジャーナリストのための人権ネットワーク(Human Rights Network for Journalists)」や他の運動団体は、ウガンダでは記者が自由に活動できる場所が狭まっていると、繰り返し警鐘を鳴らしている。昨年12月には、政府職員の汚職を非難したあるジャーナリストが、罰金または禁錮を命じられた。これまでに同様の出来事が数件あった。

「ニューズビート」は最初、多くの視聴者から「エンターテインメントに過ぎない」とはねつけられた。だが今はその「芸術の形が評価され」、視聴者がニュースに耳を傾け、ラップもより真剣に受け止めてくれるようになったと、キセカさんは語った。

「ニューズビート」は今後、科学やテクノロジーなどの専門分野を担当するラップ・キャスターの採用を検討する。番組をアフリカ全土に拡大することも視野に入れているという。(c)AFP/Amy FALLON