【6月10日 AFP】英ロンドン(London)中心部にある「戦略対話研究所(Institute for Strategic Dialogue)」の特徴のないオフィスで、メラニー・スミス(Melanie Smith)さん(23)はノートパソコンの画面をじっと見つめている。イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に加わった17歳の女子生徒が、マイクロブログのツイッター(Twitter)に投稿した内容をくまなくチェックしている。

「彼女がいつ自分の夫が死んだことを公にしたのか調べている」ところだとメラニーさんは話し、「アラーが夫を受け入れてくれますように」と書かれた数か月前の投稿を指差した。

 このツイッターのアカウントは、英北部マンチェスター(Manchester)出身の女子生徒、サルマ・ハラネ(Salma Halane)さんが保有するアカウントの一つだ。ハラネさんは2014年7月に双子の姉妹、ザーラ(Zahra)さんと共に、ISに加わるため英国を離れた。

 シリアとイラクの広い範囲を支配下に収めるISに加わった欧米人女性は、推計550人に上るといわれる。ISの女性勧誘員の実態や彼女たちのネット上の足跡を探る画期的なプロジェクトの一環で、スミスさんと同僚のエリン・サルトマン(Erin Saltman)さん(30)は、ソーシャルメディアのアカウントからこれまでに108人の女性の人物像を割り出した。

 ただし、スミスさんたちは女性たちと接触はせず、観察するのみだ。過激思想への傾倒や暴力的な過激主義に関する専門家であるサルトマンさんは「私たちはストーカーよ!」と笑った。

■男性同様に過激化する女性たち

 ツイッターやフェイスブック(Facebook)、匿名質問交流サイトの「Ask.fm」、ミニブログサービス「タンブラー(tumblr)」などのアカウントを観察し続けることは、大きな負担を伴う。サルトマンさんは「心がかき乱されるような画像、例えば亡くなった子供の首を切り落とす画像などを目にする。楽なことではない」と語った。

 プロジェクトメンバーの研究員の中には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患った者もいる。また自分が標的になる恐れもある。サルトマンさんは「個人的にツイッターで殺害の脅迫を受けたことがある」と明かした。