【6月10日 AFP】わずかな資金とインターネットを駆使した草の根運動でメキシコの中間選挙に挑んだ25歳の日系人男性が、汚職まみれの既存政党にうんざりしている世論を動かし、歴史的な当選を果たした。

 ペドロ・クマモト(Pedro Kumamoto)氏、通称「クマ」氏は、7日に行われた中間選挙に無所属で当選した数少ない候補の一人。今回の中間選挙は、2014年の選挙制度改革以来、無所属での出馬ができるようになった初めての選挙だった。

 クマモト氏は、支持者からの献金の上限を450ドル(約5万5000円)に設定し、集めた1万4000ドル(約170万円)の活動資金を元に、潤沢な資金や政党の支持を取り付けた対立候補をかわしてメキシコ西部ハリスコ(Jalisco)州議会議員に当選した。

 中間選挙では定数500の下院議会、数百議席の州および市町村議会、9州の知事の選挙が行われ、少なくとも4人が無所属で当選した。

 メキシコで実施された最近の世論調査では、91%の有権者が政治家は不正を行っていると考えているという結果が出ており、無所属の候補者たちの当選は、既存政党に対する抗議票とみられている。

 クマモト氏はAFPの電話取材に対し「従来の政治、正しく働いてこなかった政党に対する怒りに関係した社会運動を通じ、立候補を決めた」と語った。アナリストらは、クマモト氏の当選が、今後の無所属候補にとっての手本となる可能性を指摘している。(c)AFP/Yemeli ORTEGA