【6月9日 AFP】かつて欧州やアジア地域で最も個体数が多い鳥の一種だったシマアオジが絶滅の危機に瀕している理由は、中国で食用に捕獲され続けたためだとする論文が9日、国際学術誌「コンサベーション・バイオロジー(Conservation Biology)」で発表された。

 独ミュンスター大学(University of Munster)などの研究チームが発表した論文によると、シマアオジの個体数は1980年以降90%減少し、東欧や日本、ロシアの広範ではほぼ姿を消した。国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature)は2013年以降、シマアオジを「絶滅危惧IB類」に分類している。

 シマアオジを「禾花雀」(禾は穀物の意)と呼ぶ中国では、個体数の減少を受けて1997年にシマアオジの捕獲が禁止された。だが論文によると、少なくとも2013年まで、他のスズメの仲間とともに、数百万羽単位のシマアオジが食用のために殺され、闇市場で販売されていたという。

 論文はまた、シマアオジの消費量が、東アジア地域の経済成長によって増加していると指摘。2001年には、中国南部・広東(Guangdong)省だけでも推計100万羽のシマアオジが消費されたとしている。

 国際環境NGOバードライフ・インターナショナル(BirdLife International)によれば、シマアオジはヒマラヤ(Himalaya)山脈の北部で繁殖し、冬になると温暖な東南アジア地域に渡る。その際に中継する中国東部では、シマアオジ狩りの習慣が2000年以上にわたって続いてきたという。また越冬地では、大群となって夜間を過ごすことから、網を使った密猟の格好の標的になっていると、同団体は指摘している。(c)AFP