【6月5日 AFP】1998年のW杯フランス大会の大会組織委員会で会長を務めたジャック・ランベール(Jacques Lambert)氏が4日、国際サッカー連盟(FIFA)のチャック・ブレイザー(Chuck Blazer)元理事が告発した贈収賄について異議を唱えた。

 がんと闘病中と報じられている告発者のブレイザー元理事は、FIFAの汚職の解明を進める米当局の捜査に協力する姿勢を示している。

 70歳のブレイザー元理事は、「1998年W杯の開催国決定をめぐり、1992年前後にほかの関係者と共謀して収賄を促すことに合意した」と証言している。

 これに対し、現在は2016年にフランスで開催される欧州選手権(UEFA Euro 2016)の大会組織委員会会長を務めるランベール氏は、いかなる不正な支払いの存在も認識していなかったとしている。

「フランスの招致チームは何の不正も犯していないと確信している」

 実際にはランベール氏は、モロッコを抑えて開催国の権利を手にしたフランスの招致チームの一員ではなかったが、開催決定後の1992年は組織委員会のゼネラルマネジャーとしてプロジェクトに参加している。

 当時の招致チームのトップは故フェルナンド・サストレ(Fernand Sastre)氏だったが、オディル・ランソー(Odile Lanceau)氏がその補佐役を務めていた。

 ランベール氏は、「オディル・ランソー氏は、招致チームが書類の提出とフランスへの投票を説得するため、ジャック・ワーナー(Jack Warner)元副会長を訪れた時のことをよく覚えている」

 1億5000万ドル(約186億円)を超える贈収賄に関与したとして米当局により起訴されている14人の1人であるワーナー元副会長は、2011年に汚職疑惑でFIFAを追われているが、今回の疑惑で米国の証言台に立った場合は、全ての人を道連れにすることを明言している。

 招致チームとワーナー元副会長のやり取りについてランベール氏は、「ワーナー氏は、1994年のW杯前にフランスに(ワーナー氏の母国)トリニダード・トバゴで親善試合を行うよう求めた。会談の最後でワーナー氏は、『君たちのために投票する』と言った。投票結果はフランスが12票でモロッコが7票だった。投票結果を分析すると、ワーナー氏がモロッコに票を入れていたことが判明した」と語っている。

 米当局が4日に公表した文書では、モロッコは1998年大会の開催権獲得のため賄賂を贈ったとされているが、ランベール氏はその存在を認識していなかったとしている。(c)AFP