【6月1日 AFP】フランスの首都パリ(Paris)郊外の労働者階級の居住区に場違いな高級セダンが列を成して止まっている。ここは「メード・イン・チャイナ」の衣料品を売る欧州の中心地、オーベルビリエ(Aubervilliers)。最近では欧州最大のファッションセンターもオープンした。

 パリの北の端、環状道路と国立スタジアム「スタッド・ド・フランス(Stade de France)」の間に位置する広大な地区で何百もの卸売業者が、無数の色や柄の生地やさまざまな衣料品を売っている。既製品のスーツを手頃な価格で売る小売店、安い靴下を束で売るスーパー、スニーカーを売る屋台もある。

「ここでは何でも、どんな値段でも見つかる」と話すのは、6年前に中国から移住しここで働くミンさん。黒いダウンジャケットにファッショナブルなジーンズといういでたちで、卸売り用の箱や包装袋が山積みになったカートを押していた。「欧州中から人々がやって来る。ここは国際的だ」。この街には何世代にもわたって中国系移民が暮らし、中には財を成した者もいる。

「すべての店の後ろにチームがいる」と、パスカルと名乗る中国系フランス人男性は語った。彼は最近、両親の店を継いだという。「欧米の顧客を満足させる品をそろえるために、私たちはフランスのデザイナーたちの力を借りている」

「衣料品業界で働く者にとって、オーベルビリエはなくてはならない存在」だと話すのは、仏北西部ブルターニュ(Brittany)でストリート・マーケットに出店しているガエタン・ルゴレさん(37)だ。「既製服のチャイナタウン」だというオーベルビリエに、週1回は仕入れのために来る。

 さらなる雇用を生むと期待される新しいファッションセンターは、3月の終わりにオープンした。同業界ではドイツ・デュッセルドルフ(Duesseldorf)を超えて欧州最大規模の市場となる。「中国との取引にとって、オーベルビリエは欧州全体の中で最も重要な場所となった」と同市のパスカル・ボーデ(Pascal Beaudet)市長は語る。