【6月1日 AFP】フランス・アルプス(Alps)の国境付近の峠を5月31日に自転車で走行中に負傷し、スイス・ジュネーブ(Geneva)の病院に搬送された米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官(71)は一晩入院し、1日に米国に戻ることになった。米国務省のジョン・カービー(John Kirby)報道官が5月31日に発表した。

 事故を受けケリー氏は5月31日夕に米国に帰国するとされていたが、カービー報道官は「医師と相談した上、大事を取って一晩入院することになった」と述べ、ケリー氏は元気で電話でバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領とも話したと明らかにした。

 地元メディアによればケリー氏は、自転車ロードレース「ツール・ド・フランス(Tour de France)」のコースにも組み込まれているコロンビエ峠(Col de la Colombiere)を自転車で走り始めて間もなく転倒したという。

 ケリー氏は、仏東部オートサボワ(Haute-Savoi)県の職員に、アルプス地方をサイクリングする計画を立ててほしいと依頼していた。現地の関係者は「(ケリー氏から)その意向が示されたのは数日前で、コロンビエ峠を抜けるツール・ド・フランスのコースを完走したいということだった。この山道は難易度が高いことでよく知られている。ケリー氏はフランスとサイクリングが大好きなのでこのコースを自分の自転車で登ることにしたようだ」と話している。

 ケリー氏は31日午前9時40分(日本時間同日午後4時40分)ごろ、仏シャモニー(Chamonix)付近の村を自転車で走行中に転倒し、右大腿骨を骨折。ヘリコプターでジュネーブ大学病院(Geneva University Hospital)に搬送された。カービー報道官は、「事故が起きた際、現場には救急医療隊員と医師がいた」と述べた。米国務省の別の職員によれば、ケリー氏は道路の縁石に乗り上げて転んだという。

 カービー報道官によればケリー氏は31日午後遅くにスペインに向けて出発し、今月2日には仏パリ(Paris)で開かれるイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」への国際的な対応に関する協議に出席する予定だったが、いずれの訪問も取り消された。しかしケリー氏は2日のパリでの協議には「遠隔で」参加するという。

 ケリー氏は自転車で転倒する前日の5月30日には、今月30日までにイランとの核最終合意を目指す6か国協議の一環としてイランのモハマド・ジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相とジュネーブで協議したが、イラン側が核関連施設の査察をめぐる欧米の要求を拒否したため、協議は予定されていた2日目の日程には入らずに終了していた。(c)AFP/Nicolas REVISE with Nina LARSON in Scionzier