【5月29日 AFP】(一部更新)フランスの裁判所は28日、交際相手の男性(37)を「奴隷」として扱い、スポンジや洗剤を飲み込ませるなどしていたとして起訴されたフランス人の女(43)に対し、禁錮1年6月、執行猶予1年6月と損害賠償20万ユーロ(約2700万円)の有罪判決を言い渡した。

 ザキア・メドコア(Zakia Medkour)被告とマキシム・ガジェット(Maxime Gaget) さんは2007年にインターネットで知り合い、7か月後、被告が2人の子どもと住んでいたパリ(Paris)のアパートで同居を始めた。

 同被告はガジェットさんの身分証明書やクレジットカードを取り上げた他、ガジェットさんを玄関近くの床に寝かせ、トイレも使用させなかったという。また、1年以上にわたり殴ったり、たばこの火を押し付けたり、目に塩を投げつけるなどしていた。ガジェットさんが外部との連絡をとることも阻止していたという。

 さらに、同被告はガジェットさんに対し、逆らったら小児性愛者と訴えると脅していた。

 ガジェットさんは法廷で「最初は情もあったが、それが恐怖になり、屈辱になった」、「女性に暴力を受けていると認めるのは、男にとっては耐え難い。また子どもを守るためにとどまっていたんです 」と述べた。

 ガジェットさんは2月に自身の経験をつづった「私の彼女。私の拷問者」と題する本を出版した。フランスにおける男性への家庭内暴力をめぐるタブーを打ち破る一助となった。

 本のなかでガジェットさんは、「こうした残虐行為は存在する。しかも残念ながら、珍しいことではない」という事実を知らせたかったのだと述べている。

「虐待を受ける男性SOS(SOS Hommes Battus)」によると、フランスでは毎年、推定7000人の男性が家庭内暴力で訴訟を起こしているという。

 家庭内暴力を受けている男性はさらに多くいるとみられているが、恥を感じて名乗り出られないのだ。

 メドコア被告に対する判決は、フランスの法律では「転換」可能とされており、同被告は最終的には服役を免れて、社会奉仕活動を行い、電子ブレスレットを着用するか、あるいはパートタイムで働くことを許される可能性がある。(c)AFP