【5月29日 AFP】「分かったぞ!」――約100年に及ぶ研究の末、スイスの科学者チームが、「スイスチーズの穴」をめぐる謎を解明した。子どもの頃、ネズミがかじって穴ができたと教えられたかもしれないが、実際はそうではない。

 スイス連邦政府の農業研究機関、アグロスコープ(Agroscope)研究所(ACW)の専門家チームによると、エメンタールやアッペンツェラーなどの有名なスイスチーズの特徴でもある「穴」は、材料の牛乳に含まれる微量の干し草と関係しているのだという。これまでは、チーズ内のバクテリアに起因していると考えられてきた。

 研究では、チーズ作りに使われる牛乳の搾乳方法によって穴に変化が生じることがわかった。現代的な方法では、スイスチーズの謎の穴は小さくなるか、消えてしまうこともある。

 ACW広報のレジス・ナイフェラー(Regis Nyffeler)氏は、この違いが生じる原因として伝統的な乳搾りで使われる「昔ながらのバケツ」の存在を挙げた。バケツの中に落ちた干し草の微小片が、最終的にチーズの穴に発生させているのだという。

 このテーマに関する研究は、少なくとも1917年から続けられてきた。当時、米国人研究者のウィリアム・クラーク(William Clark)氏が詳細な研究結果を発表し、牛乳に含まれるバクテリアが放出する二酸化炭素(CO2)によって穴が生じると結論付けていた。

 現代のチーズ生産現場においては、密封された搾乳機が開放状態のバケツに取って代わり、牛乳に含まれる干し草の微小片が完全に排除されている。研究チームは、過去10~15年間で、スイスチーズの穴の数が少なくなっていると説明した。(c)AFP